建築士と建築家 その違いとは

ネタ

『いやーさすがは、建築家さんだねえ』

建築以外の方と話すときにたびたび言われるのですが

これに関して、毎回訂正しちゃっています。

恐らく世間の建築やっている人のイメージは、建築家なのでしょう。

テレビやドラマで見てもよく聞くのは建築家の方です。

私は建築家ではなくて、建築士なのです。

おいおい細かいなあ。。。

ってなるかもしれませんが、建築家と建築士は実は似ているようで全然違います

今回は建築士と建築家の違いについてお話していきたいと思います。

建築士と建築家

結論から言うと大きな違いは

  • 建築士:国で定められている資格を有するもの
  • 建築家:自称

になります。

どっちの方がなりやすいのかって話になると、

建築士のほうは国家試験をパスしなければならず

難易度も高いため、努力や時間や運が絡んできて、取得には手間がかかります。

一方、建築家は自称なので、その日のうちに

『建築家に俺はなる!!!』

って言えばなることができます。

こう考えると建築家の方がはハードル低いと思われますが

自分の事を“建築家”って言えるのって中々の勇気ですよね。

どこぞやの麦わら帽子が、海賊王になるっていっても

周りが中々認めてくれないように

結果が伴って周りからの評価がなければ、建築家を名乗りるのは心理的に難しいと思います。

ただ結果さえ残せば資格云々は関係ありません。

なぜなら一級建築士の資格がない人でも、建築家を名乗る人はたくさんいます。(基本的に大学で建築学を学んだ方が多数かと思われますが)

逆を言えば全く建築を学んでいない素人でも建築家を名乗るのは可能なので、注意が必要でしょう。

建築家はピンキリです。

建築家って響きだけですごいパワーを感じますが

実際本当にすごい有名な建物やテレビに出演している建築家は、

全建築家の1%以下の超級の方々です。99%は中々結果を出せない厳しい世界なのです。

それに比べて建築士は、変な話結果を出さなくても試験に受かれば建築士になれます

建築家と違い明確な試験合格という目標があるので、そこに向かって努力を費やせばいいのです。

なので僕は建築のプロになるためには

建築家を目指すよりも、建築士になる方が早道だと思って試験勉強の道を選びました。

仕事柄、全然建築の仕事をしてこなかったですが

自分のことを堂々と“建築士”と言えます。

建築家のスクール行ったみた話

他にもこういった分類もある

  • 建築士=工学
  • 建築家=芸術

建築は多種多様の分野が入り混じる学問のため、

工学も芸術も両立すべき知識なのだが、

なぜが大学教育では工学VS芸術といった構図がなりたっている。常々両方やればいいのにと思う。

僕は大学の工学修士を修了して、

卒業後はサブコン(建築の設備をメインにやる)に就職したため、

バリバリの工学人間であったが、

自分の感性の幅を広げるため30歳からは芸術について学び始めていました。

とはいえ、芸術を学ぶってなにすんねんってところで早速壁にぶち当たり、とりあえず得意の建築に絞り、

建築の意匠について学べるスクールに参加してみました。(月会費20000円もする…)

そこで学んだ事は、本当に建築士と建築家は考え方がまるっきり違うなと

そこのスクールでの設計課題に“アーテイストが集まるコミュニティ施設”というものがありました。

アーティストが宿泊でき、創作活動ができ、食事もできる。互いのアーティストが衣食住を共にできるみたいな施設を設計しろという課題です。

そこのスクールでは

課題発表→計画→エスキス→修正→エスキス→修正を繰り返します。

エスキス:本格的な設計をする前段階でのラフなイメージ。またはそのラフ案を報告して内容を詰めること。フランス語らしい

当時すでに一級建築士だった私は、一級建築士試験では鉄則とも言える

“ゾーニング”と“動線”は死んでも守る

という教えが脳内に染み付いていたので、

当然コミュニティ施設のそれぞれの部門(レストランとか宿泊室とか管理室など利用用とが違うエリア)は明確に分離しました。

しかし、発表時の批評では、交流の場に宿泊室があった方が面白いとの事でした。

まさか動線とゾーニングの分離を完全に無視して、そこを一緒にするなんて

その建物使いづらくね?と建築士の私は感じていました。

根本的に建築家と建築士の考えの違いを目の当たりにしました

こういう考え方の違いが

建築学問の工学VS芸術の構図が産み出される要因なんだなと

あとその勉強会の建築家は難しい言葉を多用しすぎで、教える気あんのか?と思うシーンが多く、もちろん芸術は理解させる必要はないという考えもあるため、重々承知なのですが

教えるという立場に立った場合“伝える力”というのをもっと養った方がいいかなと感じました。

そう言った点では建築士の方が優れているらと思います。

なぜなら建築士は図面に注釈を書いたり、設計計画の要点をまとめたりと、説明的な文章をかく能力を養うので

物事を簡潔に伝えるという能力が伸びやすい傾向にあるからです。

うらたか
うらたか

結局その勉強会は方向性の違いでやめましたわ

まとめ

今回は建築士と建築家の違いについて記事にしてみました。

結論いうと

この二つは全く違う概念です。

建築士は目に見えやすい国家資格なので安定して信頼性の高い人が多い。

建築家は目に見えない肩書きなので、すごい人とそうではない人の差が激しい競争の激しい世界である。すごい人は本当にすごい。

有名になるなら建築家を目指し、有名な会社に勤めるなら建築士を目指すのがおすすめです。

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